Gibson L5
      甦ったハートのL5
(L5 of the "heart model" which revived)    このカスタムオーダーのシングル・ピックアップのL5が 喋れるとしたらどんな物語を聞かせてくれるのでしょうか。 実際、このギターは一時期、流暢に話しをしたのです。 ジャズ・ギターにおける最高の表現力を持ったアーティスト ウェス・モンゴメリの手によって。 モンゴメリの死後、このギターは火事に遭いました。 そして熱と煙 (もちろん消火のための水も) によって受けた ダメージにさらに輪をかけて、かつての所有者が残された塗 装部分を家具用の剥離剤を使って台無しにしてしまったので す。 しかしついに今、このギターが救出され、生命を取り戻した のです。ギブソンのカスタム部門のマイク・マクガイア氏が 説明してくれました。 「インディアナポリスのメリディアン・ミュージックが現在 このギターを所有しているのですが、彼らが我々のところに 送ってきたのです。ひどい状態でした。ある質屋のオーナー がテールピースやエレクトロニクス部品を外しもしないで剥 離剤をかけたので、バインディングとプラスチックはすべて ダメになるか、あるいは溶けていました。 また火事で焼け焦げていたし、サイドはバックから外れてい て形になっていません。そしてあとから追加されたあの小さ なハートのインレイは取れていたし、ケースもなくなってい ました。」 2年半以上かけて、ギブソンはこのギターをオリジナルの 状態に修復しました。 現在在庫されているL5と異なり、バインディングの層が多 く、サンバーストは広めでオレンジブラウンの中心部が多く
エッジ部は暗めです。マクガイア氏の説明を続けましょう。 「私たちはオリジナルのフレットを取り外しました。そして指板の表面を新しくしました。 それから同じフレットを打ち直しました。溶けたプラスチック部品を全部交換しましたが、エレク トロニクスはちゃんと動作しましたので、ピックカバーを交換しただけです。 テールピースは磨き直しましたがオリジナルのものです。そしてその結果、信じられないほど立派 な楽器になりました。」 Encore / by Tom Wheeler        =8/1998 Guitar Player=参考
 「餅は餅屋」見るも無残全て木肌のギターがもとどおり修復されたのですから持ち主もホットし ていることでしょう。ハート型の貝で気がついたのですが立て彫りに【WES MONTGOMERY】の名前が 確認されました。細かいところまで凝っているんですね。
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