ウェスとL5
      ウェスとL5
(L5 of WES using preferably)     ウェスといえばL5、L5といえばウェスという ぐらいこの関係は切っても切れない親密なものであ る。 彼は一貫してギブソンを愛用していたが、特に気に 入ったのはL5CES (カッタウェイ・エレクトリ ック・スパニッシュ) モデルである。 インディアナポリスの下積み時代には、チャーリー ・クリスチャン・モデルのL4や、175D、12 5Dを使っていたが、リヴァーサイドではES17 5などのモデルも写真等で伺える。
 その後L5によるレコーディングやツアーに使われたものがLPのジャケットや出版物に掲載 された写真で観る限り、ウェスのL5コレクションは4本である。しかし私の見解とエイドリア ン・イングラムが示す6本とは違うのでそのあたりを検証してみたい。 よく観るポーズである左上にある3枚の写真はいずれも1961年に、あのコルトレーンと共演した ときのものである。 1枚はコルトレーンとのツー・ショットであり、ダウンビート誌は64年の表紙に使われ、キング ・レコードのショットでは後ろにドルフィらしき人物が写っている。いずれも右側にトレーンが いるはずである。 ムーヴィン・アロン  これらの写真と左記写真のアルバム《ムーヴ ィン・アロン》で弾いているL5のピックアッ プは【アルニコ】で、ボディは【ベネチアン・ カッタウェイ】タイプのものが確認される。
 しかし、64年頃に撮られた下の写真がアルバム《イージィ・グルーヴ/ Pacific ST-20104》で 見ると【PAF】のピックアップが着いている。 これと同じ写真でエイドリアン・イングラムが《ポートレイト・オブ・ウェス/Pacific ST-2013 7 》(Wジャケットの内側)を参考にボディは【ベネチアン・カッタウェイ】タイプと誤って記載 しているが、《イージィ・グルーヴ》ではジャケットの裏への折込で【フローレンタイン・カッ タウェイ】タイプが確認できた。
イージィ・グルーヴ 【ジャケット下の装丁は裏に折り返されている。】
 97年出版の【ジャズ批評 No.90】ウェス・モンゴメリ大全集の73頁で、ウェスが64年に "ハー フ・ノート" に出演したショットでも【PAF】のピックアップではあるがボディが【フローレ ンタイン・カッタウェイ】タイプのもので、アルバム《ムーヴィン・ウェス》でも確認できる。 ここまでを要約すると次の2本になる。 @ 1962年以前は、ピックアップは【アルニコ】又は【P90】でボディが【ベネチアン・カッ   タウェイ】タイプのL5を使用。 A 1962年は、ピックアップは【PAF】でボディが【フローレンタイン・カッタウェイ】タイ プのL5を使用。  ただ、アルバム《モンゴメリ・ブラザーズ・アンド・5・アザーズ》で使っているL5ではピ ックアップの確認ができないが、恐らく上記@のギターと同型である。 また、エイドリアン・イングラムがアルバム《ボス・キター》や2枚組再発盤の《ウェス・アン ド・フレンズ》でみられる【L5ナチュラル(クリーム系)】を《フル・ハウス》で使用したと記 載しているが、それに対しての否定説はフル・ハウスのギターの項で書いたとおりである。 後の2本は、 B65年の欧州ツアーより見られるカスタム・メイドのハートのL5を使用。 C67年頃から見られる同じくカスタム・メイドのダイアのL5を使用。  以上の4本であるが、ハートのL5もダイアのL5もギブソン社より贈られたものらしい。 以後68年までのレコーディングやツアーでは必ずダイアかハートのどちらかを使用している。
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