【PAF】での拘り(It is concerned with "PAF")
ウェスが愛用した4本のギブソンL5でレコーディングされたことについて探ってみた。
1本目は《5アザーズ》より《バグス・ミーツ・ウェス》まで( この間の他のレコーディングでは
ES175も多く使用しているが) 、2本目は《ボス・ギター》から《ムーヴィン・ウェス》まで
後の2本は《バンピン》から《ロード・ソング》までと判明した。
いわゆる3本目は【ダイアのL5】、4本目は【ハートのL5】と呼ばれるものであるが、このあ
たりからウェスの【PAF】サウンドへの探究心が旺盛になってきた。
その前に【PAF】について少し説明( 青木幹夫氏より) する。
「ちなみに【PAF】(パフと呼びます)と通常
いってますが、これはピックアップの裏側に【パ
テント・アプレイド・フォー】の頭の文字で特許
申請中のディカール(シール)を貼っていたことが
このように呼ばれる理由です。
後年になって銘機と評価されるようにたって【P
AF】付のギターは高いとなったわけですが、62
年以降はこのデカールが特許ナンバーの(実は本
当の特許ナンバーではないのですが)書かれたデ
カールが貼られる事になり、これを通称【ナンバ
ードPAF】と呼んで識別しています。」
写真提供 渋谷ウォーキン
サウンドへの探究ということで写真下を見比べていただければその様子が覗えるのですが、ハム
バッカー【PAF】のピックアップが 180度回転させ取付けていることが確認できます。
しかしあるときは戻しているのですが、素人考えでは3〜4弦あたりは変わらないものの1弦や6
弦など逆転させることにより磁石的に影響は出ないのかという疑問も起こるが、サウンド的に考え
てどのような効果が得られたのだろうか、なにが故にひっくり返して取り付けているのか、色々と
尋ねてみたが決定的な回答はえられなかった。
【ハートのL5逆付け】 【ハートのL5正規】 【ダイアのL5逆付け】 【ダイアのL5正規】
そこで専門的にヤマハ(株) 弦打楽器事業部、企画室の大島和彦氏に素人考えも含み尋ねてみた。
「カバード・ハムバッキングで、片側がネジヨーク(高さが調整可能で、それにより弦ごとの出力を
調整できるもの)の場合、ネジヨークの側の方が、
・ポールピースがカバーから露出している。
・弦とポールピースの間の距離が(若干)近いということはありますので、出力はわずかに大
きいと言えます。
したがって前後を逆にすると、弦の振動を拾う個所が変わるため微妙に音が変わることは有り得るで
しょう。ただ、どう変わるかは一概に申し上げられません。おそらく、ウェスはやってみた結果、気
に入ったのでしょう。
なお、1弦と6弦が逆になる点については、ネジヨークの高さが変わらなければ特に音質には影響な
いと思います」、と答えていただきました。
結果、サウンドへの拘りには間違いないと思うが僅かな高音部の響きであるとか鮮明さを求め、逆
付けしたり戻したりしながら楽しんでいたのでしょう、という意見でまとまりました。
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