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区分経理が求められ理由

 

修繕積立金は共有の財産です。

 団地積立金は、団地建物所有者290戸の共有物についてその修繕費用として団地建物所有者が積み立てた金銭です。 よって、290戸の共有財産になります。団地管理組合の所有と考えることもできますが、団地管理組合自体が団地建物所有者290戸の集合体ですので、団地積立金を290戸の共有とする考えに矛盾はない。
   土地、集会所、遊戯施設、植樹、植栽物、ダストハウス及びコンテナー、共用水栓、屋外給
   排水設備、屋外電気設備、掲示板、その他の共有物(原始管理規約より引用)⇒290戸の共
   有物になります。
 上記管理物件に当てられた修繕積立金が団地積立金で、290戸の共有財産です。土地の各団地建物所有者の持分は290分の1で均等ですから 積立金に対する各組合員の持分は290分の1です。 規約により、積立金のみの分割は認められておらず、 専有部分の処分に従って移転します。

 

次に各棟(建物)の共用部分はその棟の区分所有者の共有に属する。
 建物の主要構造部、外壁、屋上、階段、給排水設備、電気電話配線設備、パイプスペース、
その他共用部分(原始管理規約より引用)⇒30戸、40戸、20戸の共有物


 各棟の上記に掲げた物の所有者(共有者)はその棟の区分所有者であり、その持分は下記の通り。持分は棟によって異なります。 35号棟、36号棟、37号棟、38号棟、39号棟、41号棟、42号棟では30分の1、40号棟では40分の1、43号棟、44号棟では20分の1になります。 

 

 夫々の棟の、それぞれの区分所有者に持分に応じた積立金の負担義務があります。 これらの積立金(棟の積立金)が棟の修繕費用に当てられます。

 

 団地建物所有者290戸の共有する共有物と棟の区分所有者が共有する共用部分は明らかに区分されております。 団地建物所有者290戸で組織する団地管理組合と各棟の区分所有者で組織する棟の管理組合は、管理の対象も共有者の範囲も異なっており、会計も別々になります。⇒規約が区分経理を規定する根拠になります。

 

 

 区分所有権の売買の場合、 区分所有権が売買され、区分所有者に交替が生じますと、専有部分と共用部分の持分が売買の相手方に移転します。 共用部分の修繕費用である積立金も当然に買主に移転すると考えられます。

 団地建物所有者が有する団地共用部分の持分、附属施設の持分、敷地の持分等も棟の専有部分の売却によって、買主に移転することになります。

 売却された区分所有権に管理費、積立金等の滞納があるときは、新たに区分所有権を買ったの者にも、その滞納額を弁済する義務が生じます。(区分法第7条、第8条) 

 この義務は管理組合に対する規約上の義務と解されますので、滞納管理費等(積立金を含む)のみならず売却区分所有権者の積立金持分も買受人(新たに区分所有者となる者)にも移転する。 すなはち売買金額の中に含まれると解されます。 宅地建物取引業者の広告する中古マンションの査定価格に含まれるべきものと理解しております。  

 

2018年01月30日

利益相反相反取引とは

 管理組合の理事と管理組合との取引をいう。 法は管理組合の理事がその地位を利用して管理組合と取引することを禁じている。 

 民法第108条に規定する「自己契約及び双方代理」の禁止の規定から派生して、各種の団体法に受け継がれています。(一般社団法人及び財団法人に関する法律ほか) ただし標準管理規約では、平成28年の改正で「利益相反取引の防 止」が追加規定された。

 (利益相反取引の防止)
第37条の2 役員は、次に掲げる場合には、理事会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
 一 役員が自己又は第三者のために管理組合と取引をしようとするとき。
 ニ 管理組合が役員以外の者との間において管理組合と当該役員との利益が相反する取引をしようとするとき。

 

 8団地管理組合の規約には「利益相反取引の防止」を定めた規定はありませんので、民法第108条の「自己取引及び双方代理」の禁止規定が適用されることになります。 (8団地管理規約第83条第1項)

   民法第108条 何人といえども、同一法律行為につきその相手方の代理人となり又は当事者双方の代理人となることを得ず。 但し債務の履行についてはこのかぎりにあらず。

   本人(団地管理組合を指す)の利益を考慮した代理権の制限と理解される。 本条は代理行為に         よって新たな利益の交換を生じる場合を禁じる趣旨である。

 マンション管理の適正化に関する指針(平成13年8月1日 国土交通省告示第1288号)二、6 発注等の適正化について、次のとおり注意すべき旨規定されています。 

 二、6、「管理の委託や工事の発注等については、利益相反等に注意して適正に行われる必要があるが、とりわけ外部の専門家が管理組合の管理者等又は役員に就任する場合においてはマンションの区分所有者等から信頼されるような発注等に係るルールの整備が必要である。」と規定しています。

 

 Q. 当団地に居住する建築士が管理組合役員に就任するたびに、利益相反行為を繰り返し、不自然な支出が見られるが、この建築士の行為は正当なのか?

 A. 利益相反に陥らないような、発注等のルール化を検討する。
   役員就任時は、役員業務に専念し、管理組合との利益が相反する契約の相手方となることはできないとする規定   を置くことを検討する。

  

 

 

 

2018年01月30日

不適切コンサルタントと管理会社が癒着したら管理組合は対抗できない

以下,廣田信子さんのブログから抜粋しております。

同氏は,公財)マンション管理センターの参与で、前の主任研究員です。
パソコン、インターネットにアクセスできる方は、「廣田信子のブログ」1/18/2018及び1/19/2018で索引してください。 最も最新の情報に触れることができるはずです。

8団地で起こっていることと相違するところもありますが、マンション管理の現場で起こっていること、 起こり得ることですので参考になります。。 

 

以下、廣田信子さんのブログの抜粋です。

『バックマージンなんて、どこの業界でもよくあることじゃないか。 昔から設計コンサルタントと施工業者はうまくやってきたんだ・・・』と言われ人もいます。

 本来ならば設計コンサルと施工業者は緊張関係がもとめられている。⇒この緊張関係が薄れ『うまくやる・・。』の結果が管理組合や関わった個人にどんな被害をもたらしたのか。

 ●高いお金を取られた

 ●施工の質が悪く、不具合が多々発生 (例.塗装が大きく膨らんで浮いている。 鉄部に錆が大量に発生する。

  漏水が始まる。 舗装の亀裂が発生し、拡大する。 etc。)

 

 ⇒新しく就任した修繕委員(設備担当)は施行業者にアフターサービスの対応を求める。

 ⇒施工業者は指摘された場所を表面的に直すだけで、何故そうなったのか原因の説明をしてもらえない。

  設計コンサルに聞いても、何の返事もなく、施工業者の味方ばかり。

 ⇒管理組合は、他の専門家に相談。

  手抜き工事、 材料の仕様違いがいくつも発覚。

 設計コンサルは何をしていたのか、 本当に工事の監理していたのか・・・・

 ⇒明らかに談合の痕跡があり、 最初からその業者に工事が落ちるようになっていた。 しかもその施工業者は、管 理会社のグループ企業で、実際の工事をしたのは別の施行業者。

 管理会社の取り分、 設計コンサルのバックマージンもしっかりのった金額を取られていいた。

 ⇒実際に工事をする職人には十分なお金は回っていない。 現場は投げやりの工事になりがち、 手抜き工事、仕様 違いは当たりまえ。 

 

 設計コンサルの態度が横柄になってくる。
管理組合は設計コンサルタントにとっては、、一見の客であり、信頼を失っても痛くも痒くもない。 他方、管理会社は、年間多数の工事を抱える大切なお客だ。 管理会社と組んで仕事をした方が何倍も利益になる。

 談合を仕切って管理会社に工事が落ちるようにすれば、 間違いなくバックマージンが取れる。 管理会社こそ大切なお客様です。  

 

 管理会社は思います。

責任感の強い修繕委員を何とかしたい。 この人さえ引きずり落せば何とかなる。 ⇒そこで管理組合の中で孤立させる。 人格攻撃が始まる。  あの人は変わった人。  何か個人的な目的があるのではないか・・・ そんなフェイク情報をさりげなくながす。  ほかの理事には、 自分も管理組合に逆らうと人格攻撃を受けるかもしれないという恐怖心も生じてくるので、 関わりたくない・・と。

 管理会社も設計コンサルも、責任感の強いものは、このマンションから出ていくのを待っている。  設計コンサルと管理会社がつながるという事はこういう事です。

 

 高いお金をとられ、

 まともな工事をしてもらえず、

 さらにまっとうな声を上げた人は、人格攻撃にさらされマンションから出ていかざるを得なくなる。

 管理組合の自主性も失われる。

 

 こんなことがあるとしても、それでも『バックマージンなんてよくあることじゃないか、 設計コンサルタントと施工業者はうまくやってきたんだ・・・』と許せるのでしょうか。

 

 幸いにも、「不適切コンサル問題が表に出たことで、いくつかのコンサルタントの団体ができて、問題をなくし、信頼を取り戻すために努力することになったようです。

 今後は、バックマージンや談合を正当化することはさすがになくなるでしょうか? そう信じたいです。
  (1/18/2018)

 

『隠し事が難しい社会では誠実さが勝つ』

 設計コンサルと施工業者の癒着があると、 まっとうな工事監理が行われない可能性があり、 瑕疵が発覚しても是正させるどころか、それを指摘した人間に対する人格攻撃が問題をうやむやにすることまで発生する。

 

 不適切コンサルタント問題が表に出たことで、 業界にもいくつかの団体ができ、 こういった状況をなくし、信頼をとり戻すために努力することになったが。 本当にこういった問題がなくなる方向に進むのか???

 

 インターネット社会は、情報が漏れやすい。 隠し続けることは難しいです。 隠し事がバレれば、証拠とともに

すぐに広がり大きなダメージを受けることとなる。 これを機会に本気で本来業務で成り立つように誠実に仕事をしようと決意するところが生き残っていくのではと思っています。 設計力、合意形成に対するコンサルタント力、そして工事監理能力を磨いて、それに見合う報酬をきちんともらえるようにする。 これが本来の姿です。

 施工業者の方も誠実なコンサルタントの元で、談合なしの本来の競争になっても、バックマージンを取られるより利益が残るという事に気づき始めているといわれています。

 

 見せかけの金額や派手さに惹かれる管理組合があるのも仕方がない。 それが管理組合の力量だから。

 

 誠実に仕事をしようとするコンサルが今は全体の30%だとしても、その30%が自分の方針を貫き、きちんと説明した上で、誠実な仕事をするのに必要な金額を堂々と提示していく。 それを理解して、自分にまかせてくれた管理組合に対して、誠実に仕事をする。

 きちんとプロの仕事をするコンサルの方が、施工業者にとってもプラスだと、 気づくようになる。

 

 廣田信子さんのブログを直接お読みなったほがベターです。  8団地管理組合の管理運営に参考となることがたくさん書かれております。 是非同氏のブログを読んでみてください。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2018年01月30日

マンション政策室へ

国土交通省
マンション政策室 御中

前略、 お世話になっております。 マンション管理士池間 一徳事務所です。
   国土交通省告示第1286号(令和3年9月28日発行)に従い、 マンション管理士並びに区分所有者の役割を遵守すべく鋭意努めております。
    同封のプレゼンテーション①②はその一部です。 プレゼンテーション②は、 大部分を上記の基本方針を援用しております。 宜しくお願いします。
 
REF:  要望書
  ・ 市場での、環境整備のお願い(マンションの修繕積立金の帰属について)
・ 中古マンション売買の市場では、「修繕積立金」は管理組合の財産で、 区分所有者の財産権は否定されています。 管理組合と組合員の間の信頼関係が壊れている原因。
  
 同封しております、 プレゼンテーション①②、及び兵庫県宅地建物取引業協会あての要望書を参照して頂ければ幸甚です。 国、県にもアドバイス或いはご協力をお願いしなければならないことが出てきております。 後記しますので、 宜しくお願いします。

 国土交通省告示第1286号(令和3年9月28日)、
一 マンションの管理の適正化の推進に関する基本的な事項 
1 管理組合及び区分所有者の役割
 マンションは私有財産の集合体であり、その管理の主体はあくまで区分所有者等で構成される管理組合である。―以下略―
 マンションの区分所有者等は、管理組合の一員としての役割及び必要性を十分に認識して、管理組合の運営に関心を持ち、積極的に参加する等、その役割を果たすよう努める必要である。
2 国の役割
 国は、マンション管理水準の維持向上と管理状況が市場において評価される環境整備を図るためにマンションの管理の適正化の推進に関する施策を講じていくよう努める必要がある。―以下略―
3 地方公共団体の役割 
 ――マンション管理適正化推進計画を作成し――管理認定制度を適切に運用することで、マンションの管理水準の維持向上と管理状況が市場において評価される環境整備を図っていくことが望ましい。
4 マンション管理士及びマンション管理業者等の役割
 マンション管理には専門的知識を要することが多いため、マンション管理士には管理組合等からの相談に応じて、助言等の支援を適切に行うことが求められており、誠実にその業務を行う必要がある。 ― 以下略 ―

 上記国土交通省告示1286号一1により、 国はマンションを私有財産の集合体とみております。 国民の1割以上(約1,500万人)の人々が日常生活するマンションが、管理不全に陥ることはマンション居住者のみならず、周辺環境にも重大な悪影響を及ぼすことも考えられます。 民事不介入の原則を修正しなければならない状況になっているものと理解しています。 民事不介入の原則を修正しなければならない状況になりつつあるものと理解しています。 
 またマンション売買の市場においても、 マンションは私有財産の集合体とみなされて、 市場の取引慣行が尊重されています。 ただし、 修繕積立金の取扱いについて、 区分所有者の財産を不当に侵害する事実が指摘されており、 早急にその是正が求められています。(プレゼンテーション①参照) 

  同封しています、プレゼンテーション①②でマンションの現状並びに市場の状況を説明しています。 また管理不全に陥る原因としては、管理組合と組合員間の信頼関係が壊れていることがもっとも大きいと考えています。 管理組合が組合員の積立てた積立金を管理組合の財産として組合員の財産権を否定することなどが顕著な例です。 

 転出(引越)が予定される組合員の積立済みの修繕積立金について
標準管理規約(単棟型)第60条第6項では、
『組合員は納付した管理費等(注1)及び使用料について、 その返還請求又は分割請求することができない。』
と規定しています。
 この規約は、組合員としての義務について規定しています。  「非組合員」については、当該規約の適用はありません。 市場で売買契約が締結された時点で規約上の権利・義務が旧組合員から新組合員へ移転しています。 
 
市場に売りに出されたマンションについては、 修繕積立金もその組合員の財産と認められるはずですが、 売買の対象(目的)にもなっていません。   
 「管理組合の預かり財産」(注2)から本来の所有者である区分所有者に帰属している財産とみるべきでしょう。
中古マンション売買の重要事項説明にも売買契約成立時点の売主の積立金は明記しておくべきです。 売買価格に影響してきます。(国、地方公共団体の役割、市場の環境整備の中でご検討いただきたいことです。)

 プレゼンテーション①は、現在のマンション売買市場の取扱いを示し、いかに対処していくかを提案しています。(マンション管理士、管理組合、組合員の役割と思います。)

 プレゼンテーション②は、国土交通省の告示第1286号です、 国が、示した基本方針を読んで、理解するためのものです。 『告示を読み、理解する会』を開きたく思っています。 (マンションと取り巻く現状を見ていきます。 何が求められているのかわかると思います。)  宜しくお願いします。 (マンション管理士、管理組合、組合員の役割と理解しています)  
  
注1) 修繕積立金は「管理費等」に含まれると解されています。
注2)区分所有者は修繕積立金も管理組合の口座に振り込んで納入している。

標準管理規約(単棟型)
(組合員の資格)
第30条 組合員の資格は、区分所有者となったときに取得し、区分所有者でなくなったときに喪失する。
(届出義務)
第31条 新たに組合員の資格を取得し又は喪失した者は、直ちにその旨を書面により管理組合に届け出なければならない。

国、地方公共団体への要望
 国、地方公共団体にお願いしたいことは、 市場の環境整備です。
 ・中古マンション売買において、売主(区分所有者)の売買時点の修繕積立金は重要事項説明に明記する。 売買価格に影響します、 新区分所有者に引き継がれるべき金銭となること。 
 ・マンション売買の重要事項説明会の場に、長期修繕計画、修繕積立金制度を説明するために、管理組合役員の同席を認めること。 管理組合と新組合員の最初の出会いで、 組合員及び市場関係者との良好な関係を創設していきます。
 
以上です。
宜しくお願いします。

令和4年6月28日
マンション管理士池間 一徳事務所
池間 一徳


 
     マンション管理士池間 一徳事務所
   〒660-0815 兵庫県尼崎市杭瀬北新町2-10-14
         電話&Fax 06-6488-3628 (携帯 080-5317-8948) 
         メール:  ikemaka@outlook.jp
 
 




2022年09月02日

Q.8団地でなぜ区分経理が必要なのか

A. 団地管理組合が管理すべき物の範囲と棟の管理組合が管理すべき物の範囲が異なっているためです。

  8団地の場合

 ①団地全体で管理すべき物:土地、集会所、管理用倉庫、団地内の附属施設たる建物

 ②棟で管理すべき物:建物の主要構造物、内外壁、界壁、床スラブ、基礎部分、屋上、階段、バルコニー、パイプ
  スペース、メーターボックス等専有部部に属さない「建物の部分」
  電気電話配線設備、給排水衛生設備、ガス配管設備、火災警報設備、ケーブルテレビ設備、集合郵便受箱、配線配  管(給水管については本管から各住戸メーターを含む部分)、雑排水管及び汚水管については配管接手及び立管)  等専有部分に属さない「建物の附属物」

 ①は団地建物所有者290戸の共有になります。 ②は、各棟の区分所有者の共有になります。例。39号棟では30戸   共有になります。よって①は団地建物所有者全員(290戸)の責任と負担において管理すべき物になります。 ②  は夫々の棟の区分所有者(例。39号棟では30戸)の責任と負担において管理すべき物です。 

  

2018年01月30日